untilの深いところ

昨日はきっと日本中の中学、高校の英語の先生のあいだで大パニックが起きたのではないでしょうか。
昨日のじゃれマガの下の文を生徒たちにどう説明するか・・・頭を抱えていたのではないかと想像すると、同情とともにおかしさが込み上げました。

I thought that she would be absent “until Wednesday.” In other words, she would start work again on Wednesday.
「水曜日まで休み」、言い換えれば「水曜日からまた働く」

この文は正直私も、WednesdayはThursdayのミスであろうと最初思いました。

でもManami先生が調べてくれてそうとは言えないことがわかりました。
まず先生はこちらのサイトを紹介してくれました。
https://sendai-eigo.com/nagamachi-eikaiwa/until/
ここに詳しい説明があります。

「〇時まで~する」というピンポイントの場合は問題ありませんが、「〇日/曜日/月まで」のように幅がある場合は少し事情が変わってくるということです。

興味のある人は読んでみるとよいでしょう。
2ページにわたっていて1ページ目は理解しやすいですが、2ページ目は難しいですね。

最初は私も「水曜からまた働く」がまったく受け入れられない気分でしたが、何度か例文を見て音読してみるうちに「その通り」という気分になっていくのが面白かったです。

でも、もし「難しい」と思ったら無理して理解しようと思わないほうがよいと思います。

私のいつも言うことですが、5キロ、10キロを目指す初心者ランナーがフルマラソンのテクニックや練習法を学ぶ必要はないわけです。
「untilには注意点があったな。いつかまた勉強してみよう」ぐらいでしょう。

Manami先生がnativeのお知り合いに確認した返信を見せてくれましたが、native同士でも正確を期すには確認が必要だそうです。

日本語でも正確でなくてよい言い方と正確さが必要な言い方がありますね。いつでも後者のように言っていると息が詰まります。それは英語も一緒のようです。

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——今日のじゃれマガ——
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★今日のじゃれマガーその要旨
読者の作品です。「名物に旨い物なし」という日本のことわざを英語で言っていますね。

★学びたい英語/まねたい英語(特にお手本と思うところ)
・名物/特産品・・・specialtyは「地域の名物」のほかに個人の得意なことなどもいいます。
・終わってしまってから/あとの祭り・・・onlyという英語はさまざまな日本語を動員しないと訳せない英語です。
・~を知ったのは・・・knowという動詞は「知る」ではなく「知っている」です。「(知らなかったことを)知る」というにはcome to knowとかlearn、realizeなどと言わなくてはなりません。
・wrap(包む)の反対はunwrap(はぐ/むく)段落

★今日のじゃれマガ 全文
Readers’ Corner: My Food Mistake
On my way home from Nara in the train 30 years ago, I ate “kakinoha-zushi” for dinner. It is sushi wrapped in a persimmon leaf and is a local specialty of Nara. When I ate it, I thought, “What a bitter taste it has!” I said to myself, “It is true that local specialties rarely taste good.” It was only later that I came to know that you have to take leaves off before you eat kakinoha-zushi. I was with my friend at that time, and neither of us ever thought of unwrapping the leaves. We just continued eating without saying anything. How ignorant we were!

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untilの深いところ” に対して1件のコメントがあります。

  1. Kawakami Masashi より:

    …I thought that she would be absent “until Wednesday.” In other words, she would start work again on Wednesday. の文は、たいへん勉強になりました。ありがとうございます。ただ、「アメリカ人英語講師ローラが解説」を読んでも、よくわからないところがありました。The cafe was open until Friday.は【金曜は含まれる】のに、The café wasn’t open until Friday. は【金曜日には開いた】金曜日は含まない【否定文の場合”until A”は A を含まない】。【肯定文で”until”が使われる時でも、話し手が「利用できないか、自由がない、手が空いてない」など ”unavailability” について話す時、”until A” の A を含まなくなります】の説明や、【The cafe was open until Friday. そのカフェは金曜日まで開いていた】や、【The cafe will be closed until Friday. そのカフェは木曜一杯閉まっている。(金曜は閉店期間に含まれず、金曜から営業)なんと金曜日は含まれないのです】の説明の理由がないのです。例えば「5月28日の金曜日」を考えてみます。この金曜日は「5月28日の0:00~23:59」までですが、英語話者は否定文と unavailability の肯定文では、このようには考えていないということになります。それはなぜなのか。
    肯定文と否定文の違いで、以前勉強になったことがあります。「私は猫も犬も好きではない。」という時に英語は、”I don’t like cats and dogs.” とはいわないで、”I don’t like cats or dogs.” になるのは、「集合」の考え方を使えば簡単に理解できます。しかしこの until に関しては、どうも納得がいきません。なぜ unavailability にこだわるのかも説明がありません。(長文になったことをお許しください。)

  2. sugama より:

    Kawakamiさん、お読みいただきましてありがとうございます。

    語学上の疑問は解けるまでに何年、何十年かかる場合が少なくありません。
    問題意識を持つと日を置かずに同じような例に再会するものです。
    そんなことを繰り返すうちに慣れっこになる経験を私も繰り返しています。

    今回のケースは多くのnativeがそのように認識しているという事実(でしょう)があります。
    事実は事実として受け容れるしかありません。
    nativeの間でもあいまいさは感じているから、大事な時には別な言い方をしたり再確認したりするのでしょう。

    あいまいな言葉にも緩衝材としての役割はあるのかもしれません。
    これからも言語間の違いに面白さを見出していきましょう。

  3. Kawakami Masashi より:

    「not … until」のことをずっと調べていたら、ある論文を見つけました。(論文の URL は最後に示します。)
    「not … until/not … before/only の語法」(松尾文子)

    これを引用して簡単に説明すると

    a. John didn’t wake up until nine.
    b. John didn’t wake up before nine.
    c. John woke up at nine.     ーDeclerck(1955:53)

    a. は b.と c. を含意する。a. の論理形式は b. と同じで、真理条件に関する限りは a. の until は before と同じである。(中略)
    なぜ a. と c. を含意するのか、「実現」をキーワードに考えてみる。a. で主張したい(より salient である)のは b ではなく c. である。(中略)
    not … until の until 句(節)はある状態が続く期間の終着点を示すのではなく、問題のできごとが実現する開始点を示す。すなわち、John が目を覚まさないという状態の継続ではなく、John が目を覚ますということが「実現」した時を示している。(中略)
    until 句(節)が否定のスコープ内にある場合のみ c. の解釈が可能である。until 句(節)で示される期間に問題のできごとが起こることはなかった。すなわち until(句)節で示される期間を除外している。そしてこれは not による。ここでは、John が目を覚ますことが until 句で示される時(9時)を境界にして、それより前にはなかったと9時より前を「除外」していることになる。(中略)

    a. のnot … until 型では、〈John が目を覚ますことは9時までなく、それまで目を覚まさない状態が続き、9時になってやっと目をさました〉ことを表す。目を覚まさない「非現実」の状態が続いた、目を覚ますことが「実現」した、実現した時間は予想より「遅かった」が含意されている。(後略)

    「not … until 松尾文子」で Yahoo 検索してください。PDF なので、URLがうまく表示できませんでした。ぜひこの論文を全部お読みください。

    なんとかこの論文で、少しは理解したかなと思っています。

  4. sugama より:

    Kawakamiさん、further researchをありがとうございました。

    なかなか大作ですね。
    のちほどじっくり読ませていただきます。
    感想はその折に。

  5. sugama より:

    Kawakamiさん、お薦めのPDF読みました。
    あの長い文章を全部詳しく読んで上記にまとめてくれたのですね。
    おかげさまで上記まとめで理解できました。
    期待値という観点は大事ですね。
    また新たな気持ちで英語を楽しめます。
    ありがとうございました。

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